まだ、梅雨も明けぬコロナ禍の昨今、世間ではGo To トラベル キャンペーンで
混乱してはいますが、まだまだ物静かな当地。しかし、山へ出かけられるほどの
天気も回復せずに毎日を過ごすことに、少々飽きも来たので運動がてら街中を
散策してみました^^

まだ、昭和を感じさせている商店街ですが、やはり大型店の出店によって
徐々に閉店せざるを得ないことになってきています。

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でも、角店の小さな下駄屋さん、ローカルのCMにこの店の様子が映ると、いいね!
ボタンを押したくなるような気になりました。今も健在に商売をしていますよ。

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私の住む街から北に歩いていくと、天神川にぶつかります。
昔、高架がないときは、踏切でした。遮断機の上げ下げを人力でしていました。
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正面の橋の奥が宍道湖で、この高架は山陰本線になります。
この高架の右側には白潟天満宮がありますのでこの橋が天神橋になります。
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そして、天神橋の上から右を見ると変わった建物が見えます。なんだと思いますか?
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中電の変電所を漆喰の建物で囲っているのです。

ここにも一人旅人がいました^^
両手に荷物、はるばるアイルランドから松江に来た人です。

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そう、ラフカディオ ハーン、小泉八雲です。
機会があれば、小泉八雲の話をしてみたいですね♪

小泉八雲を追い越して、すぐ右に折れると・・

これは現在の人参方、門構えに瓦屋根の一部が残っています。

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大きなお屋敷も残っていますが、いまはどなたのお住まいかは確認していません。
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2~300坪以上もありそうなお屋敷です。人参方に携わった方の屋敷かも・・

そこで話は一挙に飛びます・・失礼します。
志賀直哉と芥川龍之介の松江滞在の時に記された文章があります。
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松江はほとんど、海を除いて『あらゆる水』をもっている。椿が濃い紅の実をつづる下に暗くよどんでいる壕の水から、灘門の外に動くともなく動いてゆく柳の葉のように青い川の水になって、滑らかなガラス板のような光沢のある生きているような湖水の水に変わるまで、水は松江を縦横に貫流して、その光と影との限りない調和を示しながら、随所に空と家をその間に飛び交うつばめの影とを映して絶えず物憂い呟きをここに住む人間に伝えつつあるのである。
芥川龍之介 「松江印象記』より抜粋

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ひと夏、山陰松江に暮らしたことがある。町は
ずれの濠に臨んだささやかな家で、独り住まいには申し分なかった。庭から石段で直ぐ濠になっている。対岸は城の裏の森で、大きな木が幹を傾け、水の上に低く枝を延ばしている。水は浅く、真菰(まこも)が生え、寂びた具合、濠というより古い池の趣があった。
志賀直哉 「環端の住まい」より抜粋
志賀直哉は画面右側の瓦屋根がわずかに見える付近の借家に住んでいたと思います。
志賀直哉の文章が的確に家の周りの風景を描写していて驚きました。

今回の散歩はこの辺まで。できるだけ観光とは関係ない道を歩いて見たいと思って
いますが、観光都市だけに皆さん知っているところも多いでしょう。しかし、
横丁を曲がったことでの新発見もまた楽しからずや、そういうところを探して
歩いてみたいと思うところです。